「手の込んだ拷問のよう」・・

いろいろな所で紹介されていますが、村上春樹の新刊「走ることについて語るときに僕の語ること」の中で自転車の練習を「ときどきそれは手の込んだ拷問のようにも思えてくる」と表現しています。

でも、読んで一番印象に残ったのはこのトライアスロンの下りではなく、6章のサロマ湖の話でした。こういうことをきちっと文章で表現してくれて・・とても共感しました。僕が好きになる何かは多分これがあるものだと思います。いや、こういう時間を経験させてくれる何かが好きになるのかな。

大学4年の冬にオーストラリアへ行き6時間かけて300km飛んだ時もそうだったなぁ。最初の50kmを進めず疲れ切った後いつしか、今までの自分ではありえない位集中し、アウトランディングの恐怖も消え、淡々と機体を上昇気流にのせ、前へ機体を進め、ぎりぎりのファイナルグライドのパスも躊躇せず踏み切り、そしてグライダーが好きになっていた・・やってて良かったと初めて思いました。
帰国後それを武久監督に伝えたら笑ってました。・・苦笑いだったのかなぁ。

走ることについて語るときに僕の語ること

走ることについて語るときに僕の語ること


この本は、出版と同時に買ったのですけど、・・未だに読み終わっていない。あと少しですけれどね。寝る前に1節づつ読むペースで読んでいるのと、しおりを挟む前に灯りをつけたまま眠ってしまうこともしばしばで・・。小説と違いますからね、・・文章の中に入ることもなく淡々と読んで、読めなければ、・・読んでも頭に入らなければそこで読むことが止まってしまうような感じで。

村上春樹は、僕は最近になって読み始めた小説家です。7〜8年位前に耳が聞こえなくなって入院した時に、嫁さんが持ってきてくれた本の中に村上春樹の本があって、それから読者になりました。僕が大学の頃本屋には赤と緑の「ノルウェイの森」が平積みにされていたのですが、流行物を避ける習性が災いし大人になるまで全く読まなかった作家でした。30過ぎてから読んでよかったかもしれない、と思っています。